今回は、世界最長の河川であるナイル川を紹介していきたいと思います。
ナイル川は、アフリカ大陸北部を流れる全長6,650kmの世界最長の河川です。
北海道北端の稚内から鹿児島県南端の枕崎までの距離が約2,300kmのため、およそ3倍の長さを誇る大河です。
ナイル川の源流はビクトリア湖を水源とする白ナイルと、エチオピア高原タナ湖を水源とする青ナイルの2か所あります。
この2つの河川が、スーダンの首都ハルツームで合流し、エジプトで三角州となって地中海に注ぎます。
流域では、オアシスが形成され、灌漑農業が行われています。
白ナイルの方が長いため水量が多く見えるが、実は全体の20%程度しかなく、青ナイルが残りの80%を占めます。
源流から河口に達するまでに全10ヶ国を経由する国際河川とも言えます。
そのため、水資源を求め国際的に争いになっているのが実情です。
とりわけ対立しているのが、エジプトとエチオピアです。
その前に、エジプトとエチオピアのナイル観をお伝えいたします。
【エジプトのナイル観】
「エジプトはナイルの賜」ということわざがあります。
国土の大部分を砂漠に覆われているにも関わらず、ナイル川が運ぶ肥沃な土壌・水資源のおかげで、エジプトははるか昔より文明・国家を築いていきました。
早くから発展していたエジプトは、自国に有利になるようにナイル川での利用権を獲得し、国内にダム(アスワンハイダム)を建設し、農業・漁業を活発化させました。
エジプトは必要な水の9割をナイル川に依存しており、国民の生命線といっても過言ではりません。
【エチオピアのナイル観】
エチオピアも古くからナイル川と共に発展してきた国です。
青ナイルを源流に抱えるこの国は、一見すると非常に水資源に恵まれているように見えますが、実際は異なります。
雨季と乾季の雨量の差が激しいため、安定して水資源を保持することができません。
2021年現在、最貧国の一つとして数えられ、国民の半分以上が電気のない暮らしを余儀なくされています。
そこで、エチオピアは国家プロジェクトとして、国内に超大型ダム(GERD)を建設し、
そこで生まれた電力をもとに国民の生活水準を上げ、
アフリカ最大の電力輸出国としての地位を築き経済成長を目指すと発信したのです。
源流近くのダムで貯水が進めば水不足に陥るのではないかと河口近くのエジプトは思います。
エチオピア側は「ダムはナイル川の水の流れに悪影響を及ばさない」と主張しています。
しかし、水が石油以上の資源ともいえる砂漠地帯に位置し、
9割を以上をナイル川に依存しているエジプトは気が気でありません。
そこで、エジプトは10年に渡ってダムの貯水を猛反対してきましたが、エチオピアは事業を強行してきました。
ちなみに、この2ヵ国を挟む、スーダンもエジプト同様反対しています。
この問題は、国連安全保障理事会やアフリカ連合にも持ち込まれましたが、最終的にエジプトが納得するような合意に至ることなく、現在もダムの建設は進んでおり、ナイル川の火種として残り続けています。
学習ナイル川から見る地理学的おもしろさ
●ナイル川は国際河川(いくつかの国を跨って流れる河川)
●ナイル川は外来河川(砂漠の外から流れる河川 → 枯れない)
●ナイル川には青ナイル、白ナイルがある
●ナイル川の河口には大規模な三角州が形成されている
●エジプトはアスワンハイダムを建設し、流域のオアシスで灌漑農業を行っている
●現在、エチオピアが上流に大規模ダム(GERD)をを建設し、周辺国と水紛争中
今回はここまでとさせていただきます。ご覧いただきありがとうございました!
コメント