2019年10月1日、日本の消費税率は8%から10%に引き上げられました。
急激な少子高齢化が進む中で、医療や介護などの社会保障費の増加や教育無償化の充実に向けての財源を確保するための一手となりました。
消費税が導入されてから30年余り、度重なる増税が繰り返され、国民の負担もより一層増えてきているのが実情です。
高額に思える日本の消費税ですが、世界的に見るとまだまだ上がたくさんいます。
今回は、世界で1番消費税が高い国を見ていきたいと思います。
順位 | 国名 | 消費税率 |
1 | ハンガリー | 27% |
2 | クロアチア | 25% |
2 | スウェーデン | 25% |
2 | デンマーク | 25% |
2 | ノルウェー | 25% |
3 | アイスランド | 24% |
3 | ギリシャ | 24% |
3 | フィンランド | 24% |
4 | アイルランド | 23% |
4 | ポーランド | 23% |
4 | ポルトガル | 23% |
ご覧のように、ヨーロッパ諸国の税率は非常に高く、特に北欧諸国が目立ちます。
これらの国々では、消費税が高い代わりに、医療費・教育費が無料、老後の生活保障がしっかりしているなど、国民が納得できるシステムが築かれていることが多いです。
そのため、北欧諸国は世界一高い消費税率を誇るにもかかわらず、国民の幸福度も世界トップクラスであると報告されています。。
話は戻りますが、世界で最も消費税の高い国は中欧のハンガリーでした。
その消費税率は驚異の27%!
北欧諸国なら消費税率の高さも高福祉制度も納得ですが、旧共産圏のハンガリーと言われると正直そのイメージはあまりないですよね。
ハンガリーの税システムと現状を見ていきたいと思います。
ハンガリーは、中央ヨーロッパに位置する共和制国家です。
首都ブタペストはドナウ海の真珠と呼ばれており、街の多くが世界遺産に登録されており、とても美しい街並みを楽しむことができます。
ハンガリー人の8割は、アジア系の遊牧騎馬民族を祖先とするマジャール人であるため、ヨーロッパにありながら、日本人との共通点が多く親しみやすい国かと思われます。
EUに加盟していますが、通貨はユーロではなく、フォリントと呼ばれる通貨単価を使用しています。
ハンガリーの税金システムがどのようになっているかというと、ずばり日本と大きくは変わりません。
例えば、付加価値税(いわゆる一般的な消費税)は、軽減税率を採用しています。
2017年までは一律だったのですが、税率が見直された結果、2種類の軽減税率が誕生しました。
穀物や小麦などを使用した製品と商業宿泊施設などには18%。
牛乳、卵、肉類などの食品、さらに医療品や本などは5%となっており、生活必需品に関しては日本より安かったりします。
ワイン生産国らしく通常ワインに至っては、税率が掛からなかったりと商品によって極端です。
その他、所得税や社会保険料などは税率こそ違いますが、システムとしてはほぼ日本と共通しているので理解しやいです。
ここからはハンガリーならではの特殊な税金をご紹介します。
国民健康保険税(通称:ポテトチップス税)
塩分、糖分、カフェイン等の大量摂取すると健康に害を及ぼし得る食品や飲料品に課さられる税です。
ATM利用税
銀行のATMからお金を引き出す際に0.6%課税されます。ただし、1ヶ月あたり2回まで、合計15万フォリントまでは非課税です。
では、税金が高い分、北欧諸国と同様、福祉は充実しているのでしょうか?
もちろん、高額の税金を課しているあって、医療費や学費は無料と、他の近隣諸国と比べると福祉が充実しています。
しかし、ランキング上位の北欧諸国と異なり、根本的にはハンガリーはギリシャと並ぶ超財政難の国です。
そのため福祉・社会保障制度が万全かと言われるとそうでもなく、国の財政上の問題から消費税を高くせざるを得ない実情にあります。
実は、ポテトチップス税も2010年以降に施行された制度で、ハンガリー政府はあの手この手で財政を補強しようといろいろなものに対して税金をつけようとしました。
2014年には、インターネットのプロバイダーやネット利用者に対して、インターネット利用税を導入すると打ち上げ、これに激怒した国民と衝突するという場面もありました。
最終的には撤回されましたが、財政赤字に悩むハンガリー政府の苦悩が見え隠れします。
しかし、近年では一転して高すぎる税金を下げていこうという傾向にあります。
現在の政府は、徴税の公正化に対して重点的に対策を行ってきました。
その内容は、脱税を防ぎ税収を確保することで減税政策を行っていくというものです。
生活必需品に対して軽減税率が採用されたのもその表れです。
学習ハンガリーから学ぶ地理学のおもしろさ
●ハンガリーは世界一消費税の高い国
●ハンガリー人の多くはアジア系のマジャール人
●EU加盟国ではあるが、財政赤字のためユーロは導入できていない
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