意外なことに、世界中には複数の首都を持つ国がちらほらあります(複都制)。これには大きく2つの理由が考えられます。
①法的に定められている首都と実際に首都機能が置かれている都市が異なる場合
②首都機能を複数の都市に分割している場合 です。
①の代表的な例としてはオランダがあります。オランダは憲法上の首都をアムステルダムとしていますが、国家機関所在地であり国家元首である国王の常住地はハーグとなっています。
②の代表的な例としてはスイスがあります。行政府と国会はベルンにあり、最高裁判所はローザンヌにあります。立法・行政・司法の三権分立のうち、残り一つを他の都市で行っているという場合が多いかと思います。
日本の場合
日本では、東京に行政・立法・司法が一極集中しております。首都が地震や災害などで機能できない事態を防ぐ為に、首都機能をバックする都市を設置・整備しようなんて話は古くから議論されていますが、現在も進んでおりません。それどころか、経済も含め東京への一極集中をさらに加速させています。ちなみにこのような都市をプライメイトシティと言います。
今回ご紹介する「首都が3つある国」とは、②に該当し、世界で唯一、行政・立法・司法の3つを分散させている国です。そこは、アフリカ大陸最南端に位置する南アフリカ共和国です。
南アフリカ共和国といえば、2010年にW杯が開催されたのが記憶に新しいです。メイン開催地であるヨハネスブルクは、アフリカを代表する世界都市の1つで、都市のGDPも南部アフリカで1番です。アフリカ最大の証券取引所があり、アフリカ随一の金融街でもあります。
そんなアフリカ随一のメガシティであるヨハネスブルクは、実は3つある首都の1つでさえありません。南アフリカ共和国では、国会はケープタウン、行政府はプレトリア、最高裁判所はブルームフォーテーンに所在します。ヨハネスブルクは経済の中心地という位置づけにあります。なお、対外的には同国の首都は行政機関が置かれているプレトリアとするのが通例とされています。
それぞれの都市を簡単にご紹介します。
【ケープタウン】
バスコ・ダ・ガマが喜望峰周りの航路を開拓して以降、欧州と東洋を結ぶ港湾都市として発展してきたケープタウンは、南アフリカ発祥の地として知られています。ヨハネスブルクに次ぐ、南アフリカ第2の大都市で、世界で最も美しい街の一つとも言われています。議会が置かれている立法の首都ではありますが、テーブルマウンテンを筆頭に豊かな自然にも恵まれた街です。
【プレトリア】
対外的には南アフリカの首都と認識されているプレトリアは、各国の大使館が集まる行政の首都です。国立劇場が立地し芸術の中心地であり、アフリカ一大きい大学が位置するなど教育機関も多くあることで知られています。「ジャカランダ・シティ」とも呼ばれ、ブラジルから持ち込まれたジャカランダがおよそ7万本も植えられており、居心地の良さ・雰囲気の良さを感じれる街かと思います。
【ブルームフォーテン】
他2都市に比べ、この都市の知名度はぐっと落ちるかもしれませんね。司法の首都であるブルームフォーテンはバラの街として知られており、何千ものバラが街を彩るカントリータウンの雰囲気を持ち合わせています。この町は歴史の宝庫でもあり、国立博物館と軍事施設で貴重な資料が多数展示されています。人類の誕生から血なまぐさい戦争・差別の歴史まで全てを知ることができ貴重な場所です。
学習南アフリカ共和国から学ぶ地理学のおもしろさ
●南アフリカ共和国は、他のアフリカ諸国と違い温帯気候やステップ気候が広がっている
●かつて少数の白人がアフリカ系黒人にアパルトヘイト(人種隔離政策)を実施していた
●最大都市ヨハネスブルク、港湾都市のケープタウンが有名
●アフリカ最大の工業国である
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