運河とは船舶の移動のために人工的に作られた水路です。
河川や湖沼を利用しているモノが多く、海路運河のうち国際条約で
原則として自由に航行が認められている運河を国際運河と言います。
「世界三大運河」は日本で作られたキャッチコピーですが、全て国際運河です。
その3つは以下の通りです。
①スエズ運河
②パナマ運河
③キール運河
スエズ運河は、地中海と紅海(スエズ湾)を結ぶ全長約193kmの人口運河です。
スエズ運河は、ユーラシア大陸とアフリカ大陸の繋ぎ目である「地峡」に築かれています。
1859年にフランス人によって建設され、10年の歳月を経て開通に至りました。
スエズ運河はヨーロッパ人にとって長年の悲願でした。
というのも、スエズ運河ができるまではアジアへの経路はアフリカ大陸をぐるりと大回りするしかなかったためです。
スエズ運河ができたおかげで、それまでの経路より10日近く短縮できるようになったのです。
石油の大部分を中東地域に頼るヨーロッパ諸国にとって、このの運河の建設は急務でした。
パナマ運河は、スエズ運河と並ぶ運河界の2大巨頭です。
太平洋と大西洋を結ぶ全長80kmの運河で、こちらも地峡に作られています。
パナマ共和国は、運河に完全に依存した国で、国の成り立ちも運河建設のもと誕生した歴史があります。
これまで太平洋から大西洋に出るためには、南米大陸をぐるりと周る必要がありました。
アメリカが中米地峡に運河建設の必要性に気づき、コロンビア領であったパナマを独立を画策して運河建設に至りました。
大西洋と太平洋では海面の高低差が約26mあるため、水のエレベータで船を上昇・下降させながらいくつかの湖を経由して渡ることになります。
キール運河は、北海とバルト海を結ぶ国際運河で、正式名称は「北海バルト海運河」です。
日本ではあまり知名度がありませんが、ドイツ北部ユトランド半島の根元をぶったぎっています。
長さは98kmで、バルト海と北海で海面の間に高度差は少ないですが、潮の満ち干に対応するため閘門(こうもん)が両端にあります。
幅が狭いため、大型船は通行できず、限られた小型客船のみが通行可能です。
どうしてここにに必要性が?と考える方もいらっしゃると思いますが、
①ユトランド沖の波浪が激しい
②各海峡は島が多くて通行が大変
③当時デンマークが課す当通行料が高かった
等の経緯から古くから建設が進まれました。
学習世界三大運河から見る地理学のおもしろさ
●国から国への大規模流通の中心は海路である
●このルートを航行する上で絶対に通る海峡や運河のことを「チョークポイント」と言う
●アメリカが世界の覇権を握れている理由はチョークポイントを押さえている海軍の力
●ヨーロッパ諸国は石油の大部分を中東に依存しているため、スエズ運河は非常に大事な要所である。そのため、エジプトやジブチに防衛拠点を置いている
●パナマ運河の建設によって、アメリカは東海岸から西海岸に繰り出し、太平洋上に軍事拠点(ハワイ、グアム、サイパン)を築いていった
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