世界にはたくさんの言語が存在します。
英語、日本語、中国語、フランス語、ドイツ語…と数えるとキリがないのですが、
いったいどれくらいの数があるのでしょう?
世界には6912の言語があると言われています。
世界で最も話されている言語は、中国語です。
12.84億人が話しており、英語よりも多いのです。
次いでスペイン語(4.37億人)、3位が英語(3.72億人)となっています。
では、世界で最も多くの言語を持つ国はどこでしょう?
答えは、南大西洋にあるパプアニューギニアという島国です。
パプアニューギニアは話される言語の数が世界一多い国と言われています。
面積は日本の1.25倍、人口は埼玉県の人口にも満たない673万人。
それにも関わらず言語の数は800以上あり、世界中に存在する言語の12%を占めています。
そのため、数キロ移動すると別の言語になるような状況にあります。
5千mを越える険しい山岳地帯、湿地帯に阻まれて部族間の交渉が少なかったこともあり
小さいコミュニティが独自の文化・言語を発達させたためと考えられています。
話者が少ない言語もかなり多くあり、半分以上の言語が話者が1000人以下です。
130の言語に至っては話者は200人以下で、世界で最も言語の消滅の危険が高い国ともいわれています。
多言語が混在するパプアニューギニアでは、人々はどうのように意思疎通をしているのでしょうか?
3つの公用語(英語、トクピシン語、ヒリモツゴ語)があります。
多くの人々は部族語+トクピシン語を使用して日常生活を行っております。
トクピシン語は、英語を基礎に植民地時代に生み出された言語です。
近年は英語教育に熱心で、ビジネス・観光・政府・商業・メディアでは既に使用されています。
そのため、パプアニューギニアでは今後、部族語+トクピシン語+英語を使用する場面が増えつつあり、トリリンガル(3ヶ国語を話せる)が増えているようです。
そんなパプアニューギニアを語るうえで切り離せないのが「ワントク」という文化です。
英語のone(ワン)talk(トーク)に由来する言葉で、「同じ言葉を話す集団」を意味します。
同じ言葉を話し、同じ部族出身であることによる帰属意識、平等意識が非常に強く、日本風に例えると「強固すぎる家族文化」が適切かと思います。
ワントクの中(同じ部族の中)では、困っている人には全ての手を差し伸べます。
金銭面・食料面・居住面であらゆる支援をお互いがしあいます。
そのため、飢えや貧困の心配はなく素敵な社会システムのように見えます。
しかし、例えば誰かが起業し成功したり政治家になったりすると、その人はワントク内の人々にコネ採用や金銭的な貢献もしなければいけません。
1人だけが大成することを許さず、幸せも苦しみもワントク内で全て分かち合わなければなりません。
最大の問題は、ワントク内の依頼を断ることができない暗黙の了解があり、掟を破った場合の報復は恐ろしいようです。
身内を大事にしすぎる文化が行き過ぎて、外部の者を全く受け入れず排除してしまいます。
日本の家族主義・村文化を極端に高めた「ワントク」がパプアニューギニアの文化に深く根付いています。
学習パプアニューギニアから学ぶ地理学のおもしろさ
●パプアニューギニアは多民族国家であることに加え、山がちで険しい地形なことから民族間の交流が全くなかったため世界一言語の多い国である。
●銅鉱や原油などの鉱産資源や林産資源が豊富
●国土の大部分が熱帯雨林気候に覆われている
●ニューギニア島は世界で2番目に大きい島で、西部はインドネシア領、東部はパプアニューギニア領となっている
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