【世界の岬】ユーラシア大陸の四端

端っこ

最北端:チェリュスキン岬

ユーラシア大陸の最北端はロシア連邦のタイミル半島の先頭に位置するチェリュスキン岬です。北極点までの距離は約1230kmで、見渡す限りのツンドラ大地の終点にあたります。

ロシア人の探検家セミョン・チュリンスキンによってはじめて到達されたこの岬は、当初は「イーストノーザン岬(東北岬)」と名付けられました。発見から100周年を迎えた際に、ロシア地理学会によってチュリンスキンに敬意を表して改名されました。

チュリンスキン岬 photo by Ansgar Walk

1年中氷点下という非常に厳しい環境下にあって、定住者は存在しません。ロシアの極致観測所や研究施設のスタッフが約100人交代で駐在しています。また、ロシアの訪問規制領域に属するため、一般人の立ち入りは禁止されています。

チュリンスキン岬の居住エリア photo by Ansgar Walk

ヨーロッパとアジアを結ぶ北極海航路(北東航路)の最深部(中間)に位置するこの岬と対岸のセヴェルナヤ・ゼムリャ諸島との間にあるヴィルキツキー海峡は、航路最大の難所として知られています。

近年、北極海が地球温暖化の影響で夏季にも氷が溶けるようになってきたため、本格的な商業利用も現実味を帯びてきており、いつかチュリンスキン岬に訪れることができる日がくるかもしれません。

ヴィルキツキー海峡 photo by Kennonv

ユーラシア全土の最北端ルドルフ島

ロシア連邦のゼムリャフランツァヨシファ(フランツヨシフ諸島)と呼ばれる192の島から構成される島嶼郡の最北に位置するルドルフ島「フリゲリ岬」です。北緯81度52分と、北極点からわずか900kmの距離に位置します。

フリゲリ岬 photo by Ansgar Walk

最東端:デジニョフ岬

ユーラシア大陸最東端の地は同じくロシア連邦のチュクチ半島の先端に位置するデジニョフ岬です。北極海と太平洋を繋ぐベーリング海峡に位置しています。北アメリカ大陸の最西端であるプリンスオブウェールズ岬までの距離はたった82kmです。

岬の名前は、アジアと北アメリカが繋がっておらず、アメリカが独立した大陸であることを歴史上初めて発見したロシアの探検家セミョン・デジニョフに由来します。海抜100メートルの高さの位置には、デジニョフの記念碑が建てられています。

デジニョフ岬 photo by Ansgar Walk.
デジニョフの記念碑 photo by NOAA

この岬にはかつて交易所が存在し人が住んでいた時期もありましたが、現在は誰も住んでいません。最寄りの集落は岬から12kmほど離れたウエレンで、約600人ほどのエスキモーとチュクチ人で構成されています。

ウエレン photo by Ansgar Walk

デジニョフ岬やウエレンがあるチュクチ自治管区全土は訪問規制領域ですが、入域許可があれば観光することは可能です。ただし、ロシア側からのアクセスは大変難しく、アメリカのアラスカ発のクルーズ船で訪れるのが一番現実的です(費用は約200万)。

ユーラシア全土の最東端ビッグダイオミード島

ユーラシア大陸と北アメリカ大陸のちょうど真ん中にダイオミード諸島と呼ばれる2つの島があります。それぞれ、リトルダイオミード島とビッグダイオミード島と呼ばれており、この2つの島の間がアメリカとロシアの国境になります。

そのため、西に位置するビッグダイオミード島(ロシア名:ラトマノフ島)こそがユーラシア全土の最東端となります。ダイオミード諸島の解説はこちら→【解説】日付変更線がいびつな理由(時を歪めた島々5選)

西に位置するのがビッグダイオミード(ラトマノフ)島 photo by NASA

最南端:タンジュン・ピアイ

ユーラシア大陸最南端の岬はマレーシアのジョホール州にあるタンジュン・ピアイです。マラッカ海峡とジョホール海峡とシンガポール海峡の合流点という世界有数の海上交通の要所で、岬からは非常に多くの船舶を見ることができます。

photo by Amy00

これまで見て来た荒涼とした人を寄せ付けない「果て」のイメージから一転して、マングローブの生い茂る国立公園の中にあり、果て感はあまり感じません。公園内には遊歩道が整備されており、のんびり探索しながら辿り着くことができます。そう、最南端の岬は一般人が訪れることができるのです。

photo by Amy00

旅行好きの方なら「最南端」と聞いた際に、シンガポールのセントーサ島を思い浮かんだ方もいらっしゃるかもしれません。しかし、セントーサ島は名前の通り「島」です。大陸の最南端という意味合いではタンジュン・ピアイが正しく、セントーサ島は「アジア大陸の最南端」と表現されます。

photo by Chensiyuan

セントーサ島はシンガポール随一の観光スポットで、島の北側にはユニバーサル・スタジオ・シンガポールや大型カジノ、水族館などが並び、島の南側にはビーチが続いています。パワラン・ビーチに「アジア大陸最南端」の碑が立っており、フォトスポットとなっています。

ユーラシア全土の最南端:ココス諸島

ユーラシア全土の最南端はインド洋にあるオーストリア領のココス諸島です。2つの環礁からできた諸島で、サウス島が最南端にあたります。

ココス諸島をアジアの一部とみなさない場合は、インドネシアのダナ島という無人島が最南端となります。

最東端:ロカ岬

最後にご紹介するのが、世界で一番有名な大陸の端っこ「ロカ岬」です。ポルトガルの首都リスボンから日帰りでアクセスが可能なため、世界中から観光客が訪れる一大観光地です。

岬は海抜100mに位置し、雄大に広がる大西洋を眺めることができます。その先には、ポルトガルのリゾート島、アゾレス諸島があります。岬を見下ろすロカ岬灯台は1772年に操業を開始した非常に歴史のある灯台です。

photo by Olga1969

また、ポルトガルの詩人ルイス・デ・カモンイスの叙事詩『ウズ・ルジアダス』の一説「ここに地終わり海始まる」を刻んだ石碑が立っています。観光案内所では「ユーラシア亜大陸最西端到達証明書」を発行してもらえます(日本語あり)。

photo by Acaro at Polish Wikipedia

ユーラシア全土の最西端:フローレス島

大西洋のリゾートアイランドであるアゾレス諸島を構成する9つの主要な島のうち、最西端に位置する島がフローレス島です。アゾレス諸島はかつては捕鯨および遠洋漁業の基地としても使われていました。

photo by Angrese

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