以前、世界最北端の町をご紹介いたしました。
場所はノルウェーのスヴァルヴァール諸島のロングイェールビーン。
ここは人口1000人以上越え、町としては最北端です。
しかし、人間が暮らす定住地としては最北端ではありません。
町と言えるレベルではありませんが、わずかながら人間が暮らす場所があります。
場所はカナダ最北端に位置するアラートというコミュニテイです。
エルズミア島最北端のシェリダン岬の西12km位置し、北極海に繋がるリンカーン海に面しています。
北緯82度28分西経62度30分で、北極点までたった830kmである一方、カナダ国内の最寄りの都市であるイカルイトまでは約2100kmも離れています。
もっとも近い町はグリーンランドにあるチューレです。
2016年のカナダ国政調査によればアラートの人口は62人ほどで、永住者はたった5人しかいないようです。
ここは軍事基地のため、暮らしているのは軍事関係者か北極圏の気象・大気を観測する研究者に限られます。
そのため、簡単に訪れることはできません。
アラートという名前は、この町の10km沖合の場所でイギリス海軍の巡洋艦・HMS Alertが1875年から1876年にかけて越冬したことに由来します。
アラート周囲は険しい谷や丘が続いていて、海は一年中氷に追われています。
そのため、輸送手段は空輸に限られており、空輸に頼らざるを得ません。
世界最北端の空港もこちらに存在します。
寒い月の平均気温はマイナス40度近くに達し、夏場の平均最高気温は6度ぐらいまでにしかなりません。
3月下旬から9月中旬までは白夜が続き、うちに4月中旬から8月にかけて太陽が全く沈まないで、逆に9月下旬から2月下旬までは太陽が地平線から出ることがない極夜が続いています。
ちなみ同島にはあと2つコミュニテイが存在します。
ユリーカとグリースフィヨルドです。
ユリーカには8人が暮らしており、観測所として使用されています。
グリースフィヨルドには約141人が暮らしており、そのほとんどがイヌイットです。
アラートとユリーカがはいずれも観測所や軍事基地等のため、実質的に北アメリカで最も北にある民間人のコミュニティは、グリースフィヨルドと言えます。
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